対外事業局は、軍事外交を専担する部署である。任務は、第1に、外国に武官を選抜派遣し、彼らを通して軍事情報及び技術資料を入手、第2に、他の国との軍事交流と協力、第3に、外国に派遣された全ての軍事人員(軍所属の民間人を含む。)の掌握統制である。しかし、1994年10月、金正日の指示により、武官を選抜派遣、掌握指揮していた機能は、人民軍偵察局に渡した。
対外事業局は、各部署があるが、貿易会社と関係する部署は、3部と5部である。全ての貿易会社は、外国に代表団を派遣しようとすれば、代表団の目的、活動計画と内容を具体的に載せた代表団活動計画書を対外事業局3部に提出しなければならない。3部では、その会社の代表団が以前に外国に出て活動した状況を具体的に把握し、実績が未達成だったか、代表団の成員が国の威信を傷つけた等、国家において規定した対外事業規律を破ったときには、上部に報告し、代表団派遣を中止させる。そのため、対外事業局長を始めとする3部成員は、該当貿易会社から夥しい賄賂を取る。3部は、特別な代表団の外国は県と関連した文件を作り、武力部幹部(武力部長、総参謀長、総政治局長、作戦局長)の批准を提起する。
※批准文件作成形式は、次の通りである。
次帥金英春批准 199・・・ メボン貿易総会社貿易実務代表団派遣を承認することに対して、
対外事業局長
代表団構成: −政治活動計画 −実務活動計画
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代表団文件が批准されれば、対外事業局は、写本を人民軍幹部局に送る。幹部局では、代表団成員に対する人事事業を行う。
3部は、総政治局組織部在外党生活指導課と協同で代表団成員に対する派遣講習を1週間行う。最近では、3〜4日程度行う。先ず、総政治局組織部在外党生活指導課において金日成、金正日の教示、指示を伝達浸透し、彼らの思想で徹底して武装させる政治講習とブルジョア、資本主義思想と生活様式に染まらないことに対する問題を強調する。講習の最後に、党細胞を組織し、細胞秘書を選出する(細胞は、朝鮮労働党の下部組織である。)。
対外事業局3部は、代表団が外国に出ている間、対外活動原則を徹底して守らせることに対する問題を講習する。即ち、個別的に外国人、韓国人と絶対に会ってはならないこと、ルームサロンやサウナ風呂等に入ってはならないこと、甚だしくは、食事をするときに舌打ちをしてはならないこと等の各内容を強調する。
講習が終われば、対外事業局3部は、講習確認文件を外国部旅券課に送り、外国旅行者商店を利用できる証明書を発給する。この文件がなければ、旅券も出すことができず、商品も売ることができなくなっている。北朝鮮では、既に1970年代末から、国の威信を傷つけないように、外国に出ていく成員に日本産高級洋服、トランクを始めとする日用品を売り始めた。1980年代末に入り、外貨が不足するや、外国から輸入できなくなり、国内産で代置しているのが実状である。そのため、製品の質が韓国では、到底探し出せない形無しのものである。
一般商店では、買う数がないために、全ての外国旅行者がこの商店に委託する。靴、歯磨き粉、化粧石鹸、フィルタータバコ等の一切を買う。それでも思い通りに買うことができず、1個ずつしか買うことができなくなっている。タバコの場合には、10本ずつしか売っていない。この商店を旅行者商店と言い、普通江区域に位置している。
代表団活動を終えて帰国すれば、翌日から3日間、活動状況を総和される。貿易会社において国内で外国人、中国朝鮮族、海外僑胞等と面談しようとするときには、対外事業局5部の承認を受けなければならない。会社では、面談15日前に5部に面談承認申請書を提出しなければならない。5部は、文件を検討し、総参謀長の批准に提起する。批准が出れば、その文件を国家安全保衛部2局と人民軍保衛司令部、外交部に送り、該当会社に通報する。人民軍総参謀長の批准と国家安全保衛部の承認なく、外国人又は海外朝鮮族、海外僑胞と面談することができない。海外僑胞との面談は、対南工作部署である統一戦線部の承認も受けなければならない。
2.人民軍総政治局との関係
軍隊内の全ての貿易会社に対する党的統制は、人民軍総政治局が担当する。総政治局組織部は、軍団、軍種及び兵種司令部政治部組織部と党委員会を通して、貿易会社所属の党員の党組織思想生活を掌握統制する。総政治局組織部には、外貨稼ぎ会社担当の過去があり、軍団級大連合部隊政治部組織部にも外貨稼ぎ担当課がある。
貿易会社は、大会社の場合は、政治部、小さな会社の場合は、初級党秘書又は細胞秘書がある。ユンソン貿易会社の場合は、成員が5名であった。政治部長、組織秘書、党指導員、幹部指導員がいる。そして、会社傘下の外貨稼ぎ事業所毎に初級党秘書と党指導員がいる。
貿易会社の政治部(党秘書)は、毎日、各部署の細胞秘書から事業報告を受け、これを総合して上級政治部組織部の外貨稼ぎ担当課に報告する。このような報告は、その日中に総政治局組織部外貨稼ぎ担当課に報告される。報告方法は、主として電話を利用する。報告内容には、面談状況、外国人又は海外僑胞から電話・ファックスを受けた内容を始めとし、当日にあった重要な問題が全て含まれる。
総政治局組織部外貨稼ぎ担当課、軍団政治部組織部外貨稼ぎ担当課成員は、貿易会社において進行する党会議、外貨稼ぎ計画樹立や総和を行う重要行政会議に全て参加し、会議を指導する。
3.人民軍保衛司令部との関係
全ての貿易会社は、人民軍保衛司令部の徹底した統制を受ける。会社には、保衛部又は担当保衛指導員がいる。
ヨンソン貿易会社の場合、保衛部成員が3名である。部長(上佐)、上級指導員(中佐)、指導員(少佐)がいる。民間人のみで構成されている傘下の外貨稼ぎ事業所(規模が大きな事業場)毎に現役将校の保衛指導員がいる。ユンソン貿易会社合営部所属の被服合営工場(1046工場)担当保衛員は、中佐である。
保衛部の基本任務は、外貨稼ぎ一群が金日成、金正日を中傷して冒涜しないか、韓国放送や歌を聴取しないか、北朝鮮体制を批判して韓国を賞賛しないか等、各種政治的な事件と問題、韓国人、外国人、海外僑胞に国家軍事秘密を売り渡さないか、又は彼らのスパイにより転落しないかを秘密裡に監視掌握する任務を遂行する。この外にも、外貨を奢侈する等、各種不正腐敗非理を摘発する事業、韓国から輸入された工場設備や製品に韓国商標が付いていないかを確認し、対策を立てる。予審(審問)において政治的問題がなく、純粋な不正腐敗や非理事件のような事件は、人民軍検察局に渡される。
ユンソン貿易会社合営部所属として、黄海南道海州市に日本へ輸出する稲藁飼料生産工場がある。この工場設備は、延辺科技大総長である在米僑胞金ジンギョン先生が寄贈した者である。南浦港に設備が入るとき毎に、保衛部成員が港に出て、設備に付いているハングル商標をはずして、消してしまうという。はずした商標を捨てるのではなく、結果報告書と共に全て保管する。
一旦、保衛部にかかれば、少なくとも統制区域に引っ張られるか、監獄に監禁される。外国に出ていく前と帰って来てからは、必ず担当保衛指導員と会わなければならない。
最終更新日:2003/05/01
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